崖っぷちの男

たぶん技術っぽいネタ。ブログ名が決められない

『Being Geek』の第 2 部から最後まで

 まずお詫びして訂正なんですが、一つ前の記事から取り上げているオライリーの『Being Geek』という本、3 部構成と書きましたが 4 部構成でした。何で今まで気づかなかったんだろうと思いますが、内容が読み物系だし、各章のタイトルもよく分からんと思ってろくに目次を読んでませんでした。

Being Geek ―ギークであり続けるためのキャリア戦略

Being Geek ―ギークであり続けるためのキャリア戦略


 で前回は第 1 部についてだけ書きましたが、今日はその残りで印象に残ったところをピックアップ。


 まず「マネージメント」を扱った第 2 部。10 章の「愚かな上司の作り方」より。

 筆者が CEO にある不満を長々と説明したところ、CEO のリアクションが「それで ?」だったそうです。まあなぜこうなったかとか細かい説明は実際に読んでいただくとして、そのまとめを引用します:

CEO の対応には失望したが、結局、悪いのは CEO ではなく自分たちだったことを悟った。ただ、不満を言うばかりで、結局、何が問題で、どうすれば解決するのかを言わなかったからだ。

 ただ不満を言うだけではだめ。これは覚えておこうと思いました。

 同じ章で気に行ったところを次いでに:

ソフトウェア業界は、「自分で何でもできる」と信じている人たちが集っているところだろう。私は、この業界のそういうところが好きだ。

 何でもとは全然いえないけど「色々できるよ」くらいは確かに自分も信じています。


 ちょっと戻りますが、 9章「マネージャのマネージメント」ではマネージャを

  • 有機的マネージャ
  • 機械的マネージャ

の 2 つに分けて、それぞれの特徴を挙げています。すごく大ざっぱにいうと「有機的マネージャ」は感性重視、「機械的マネージャ」は理性重視みたいな感じです。どちらの方がいいという訳ではなくて、両方のバランスがとれてるといいという話です。自分のまわりの人についてもこれを当てはめてみると、マネージメントのやり方がそれぞれ違う訳が分かった気になれます(笑)

 また「機械的マネージャ」は報告書を書かせたがる、という話が出てくるのですが、その報告書についての記述も引用:

…… 書けと言われたから仕方なく書くということではよくない。書くのなら積極的に取り組むべきだ。受け身の態度で嫌々やるのは最悪である。

 これは報告書に限らない話だと思います。何でもそうですねー耳が痛い。


 そしてかなり印象に残っている 21 章「困った人」。社内の誰ともうまが合わない人、会議などでのリアクションが予想できなくて困る人 の話です。

 結論を書いてしまうと、困った人は他の人と何が違うかといえば、文化だそうです。「困った人」が何で腹を立てているのか分からないことがありますが、それは自分の文化と会社の文化が違うところに腹を立てているんだそうです。まあ何だか投げやりな気もしますが、こう言われると合点がいきます。

 こういう人がいるのは良くないという訳ではなく、またこういう人の存在が会社を発展させる可能性もある、とフォローはしています。ただし最後はこう締めくくられています:

本当に困った人というのは、ただ会社を混乱に陥れるだけではない。 …… ただ、時間や労力を奪われるだけではなく、大きな精神的苦痛ももたらす。もし、その人が本当に害にしかならないことが明らかなら、一刻も早い対処が必要だ。


 第 2 部のラストは 22 章「在宅勤務」。筆者は在宅勤務を自分ではしたいと思っていないし、どちらかというと反対しているようで、そのニュアンスで書かれています。

 例えが出てきて、会社は池で、社員はその中の魚のようなものと例えられています。在宅社員はその池の外に出た魚で、池の中でさざ波が起こっても、それを知ることはできません。筆者は度々、廊下などで交わされる雑談などにも価値を認めるような書き方をしていて、そういう雑談や噂から得た情報が仕事を左右することもあり得るので、在宅勤務はそれがない分難しい、というのが筆者の意見のようです。

 雑談や噂に限らず、社内の人間との情報交換自体たしかに手間がかかるようになって、その辺は問題だなと思います。ただうまく在宅勤務でやっていた人の話も載っていて、その人はたまに会社に出社する時に「さざ波」をできるだけキャッチするようにしていたそうです。


 第 3 部はタスク管理やプレゼンについてで、「トリクルリスト」とか「ビット・機能・真実」のモデルとかおもしろいところもあるのですが、そろそろ長いので第 4 部の 37 章「マネージャとコミュニケーション」から引用して終わり:

 エンジニアからマネージャになったばかりの人は、何か予想外の困った事態に直面すると、エンジニアに戻ってしまうことが多い。エンジニアだった頃に馴染んでいた方法に戻ってしまうのだ。何もかもを自分一人で解決しようとする。その方が安心できるからだ。ただ、マネージャとなったからには他人を、部下を信頼して任せなくてはならない。

 自分の学んできたことを、部下にわかるように翻訳して教えていく必要がある。 そして、学ばせるには、信頼して任せるということが必要だ。以前なら、自分でしていたことを任せてしまうのである。

 そんな訳で『Being Geek』読み終わりました。終わり方も素敵な感じですが (40章) そこは敢えて書かずにおしまい。